入園や入学の準備をする頃になると、いつもはほとんど使わないミシンを引っ張り出すご家庭も多いのではないでしょうか。
手提げ袋、上履きなどを入れる巾着袋など、とにかく沢山の布製の袋を作ったという記憶があります。
ミシンがあれば、それほど難しくはないです。
ですが、どの家にもミシンがあるわけじゃないですよね。
まさかの手縫い?
ちくちく縫うのは大変すぎる~
既製品じゃいけないのかな
なぜか教育現場では、いまだに子供たちが使うものは親の手作りを推奨することが多い。
学校給食よりも、親の愛情が詰まった手作り弁当を推奨したりすることもある。
どうして親の愛情と手作りで測ろうとするのか、疑問です。
教育現場にある手作り至上主義について、考えてみました。
手作りを強制はしないが
入園や入学前に保護者に向けた説明会などで、入園入学までに準備するものを伝えられます。
そこに「手作りでお願いします」と念を押されるケースは少なくなっています。
しかし既製品の場合には、「キャラクター禁止」や「サイズの規定」などをクリアするものを見つけるのが難しいのです。
結局、定められたルールに従ったものが見つけられずに、手作りをする羽目になってしまうこともあるわけです。
手作りであれば、規定のサイズに合わせて作れるので、あえてサイズ規定やデザインの規制などが定められているのかも知れません。
手作りを推奨する理由
子供たちが使う手提げ袋などは、できるだけ手作りのものを準備して欲しいと学校側が求めるのは、なぜなのか。
考えられる理由を見ていきます。
物を大切にする心を育む
親が手間ひまをかけて手作りしてくれた物とお金を出せば変える既製品では、子供たちは市販の既製品の方が喜ぶかも知れません。
しかし、親が作ってくれた物はお金では買えません。
子供は親が作っている姿を思い出して、物を大切にしようとするはず。
どうやら、本気でそう思っている人が今も教育現場にはいるのです。
経済的格差をなくす
学校で使用する物に対して、厳しい条件を作る理由に必ずと言って良いほど出てくるのは、「経済的な格差をなくす」です。
経済的に余裕のない家庭の子供と裕福な家庭の子供が、格差を感じずに学校生活を送るために、条件を作っているというわけです。
ですが、それはホントの意味で格差をなくすことにはなりません。
そもそも、経済的に余裕がなければ、家庭用ミシンもないでしょう。
既製品を買った方が安く手に入るものだってあるはずです。
格差をなくすためという理由であれば、経済的に厳しい家庭の事情をくみ取るべきだと思いましが、どうも表面的な理由で手作りを推奨しているとしか思えないのです。
親の手作りとは限らない
学校の先生たちが、親に対して「できる限り手作り」を推奨するとどうなるのか。
共働きで忙しい日々を送る親、ひとり親で仕事に時間を費やしている親もいます。
手作りするためにミシンを買う余裕もなければ、ハンドメイドを請け負ってくれる人へ発注して作ってもらうという方法で切り抜けているのです。
たとえばココナラのように、個人同士で発注できるサイトもあります。
裁縫が得意な知人が周りに居なくても、お金を払えば手作りの品物を手に入れられるのです。
経済的な格差をなくすためという理由は、全く意味を持たないのではないでしょうか。
手作り至上主義の疑問
手提げ袋など、学校で使う物だけじゃなく、学校給食でも物議を醸した自治体があります。
給食よりも、保護者が愛情をこめて作った弁当の方が良いと思い込んでいる人たちがいたのです。
こういう考え方で保護者に負担を強いる原因は、教育現場に限らず男性の意見が通るからではないでしょうか。
男性は自分自身が裁縫をしたり、料理したりする機会が圧倒的に少ないので、安易に「手作り」と「愛情」を結び付けるのだと思います。
どんな組織でも男女の割合が同数であれば、このような偏った意見がまかり通るとは思えないのですが、世の中はまだまだ男性の意見が中心に回っているようですね。
まとめ
入園や入学の時期だけじゃなく、新学期になるとミシンを借りるためにわざわざ実家に帰ったという経験があります。
シンプルなミシンなら買えば済む話なのでしょうが、数年に一度使うかどうかなのに勿体なく感じてしまいます。
家事、育児、仕事をこなしながら生活している親たちにとって、時間を使うこととお金を使うことは同じです。
どちらも貴重なので、せめて「手作りの方が良い」という価値観を押し付けるような風潮はなくして欲しいと考えるのは私だけではないはず。