日本社会には、海外にはないシステムが存在します。
例えば結婚した夫婦が法的に同じ姓にならなければいけない制度も、世界を見渡しても日本だけになっているようです。
戸籍という制度も世界では珍しくなっているのではないでしょうか。
戸籍制度について、日本以外の国の事情も含めてまとめてみました。
日本の戸籍に似ている国
日本の戸籍制度(家族単位で身分関係を一冊にまとめる仕組み)と同じ形のものは、実はあまり多くありません。
似ているようでも少しづつ違うのは、その制度の目的に違いがあるのかも知れません。
日本の戸籍に似ている国はアジアに多いことがわかります。
日本に近い「家族・世帯単位」の制度があった/ある国
- 韓国
かつて日本の戸籍に非常に近い「戸籍(호적)」制度がありましたが、
2008年に廃止され、現在は個人単位の家族関係登録制度に移行しています。 - 台湾
戸籍(戸政)制度があり、出生・婚姻・死亡・親子関係などを登録。
日本と同様に行政手続きで重要な役割を持っています。 - 中国
戸口(戸籍/フーコウ)制度がありますが、
これは身分関係というより居住地・社会保障・就労管理の意味合いが強く、日本の戸籍とは性格がかなり異なります。 - ベトナム・タイ
世帯登録(家族単位)があり、行政管理の基礎になっています。
世界水準と違う理由
日本をはじめ、アジアには家族単位、世帯単位で行政に登録する制度は存在していますが、韓国で家族単位の制度が廃止されたことを見ても、今後はさらに減る可能性はありますね。
欧米では家族単位での登録ではなく、個人単位で登録する制度が一般的です。
戸籍はなく、個人単位の「身分登録」
- 出生証明
- 婚姻証明
- 死亡証明
などを別々に管理
フランス、ドイツ、アメリカ、イギリスなどはこの方式
「家」を単位にする考え方はほぼありません
日本の戸籍制度はなぜ残ってるのか
世界水準では家族単位で行政が管理する制度はほぼ残っていないのに、なぜ日本では戸籍制度が残っているのか、その理由を探ってみました。
① 歴史的理由:戸籍は「統治の基盤」だった
日本の戸籍の原型は古く、
- 律令制(7世紀)の「戸籍・計帳」にまで遡ります
- 明治政府はこれを近代国家の統治装置として再構築しました
明治期の戸籍は:
- 徴兵
- 納税
- 身分秩序の把握
に不可欠で、国家運営の中枢でした。
② 「家」を単位とする社会が長く続いた
日本社会では長く
- 家(いえ)=社会の最小単位
- 家長が責任を持つ
という考え方が強く、
- 相続
- 婚姻
- 親子関係
を一体で管理する戸籍は、社会感覚に合っていました。
欧米のような
個人が独立した存在
という発想が一般化したのは、実は戦後以降です。
③ 戦後改革で「完全廃止」されなかった
戦後、日本は大改革を行いましたが:
- 家制度は廃止
- 男女平等・個人尊重を導入
- しかし 戸籍制度そのものは存続
理由は:
- 行政実務が戸籍に全面依存していた
- 混乱を避けるため
- 代替制度を作る政治的合意がなかった
結果として
「中身は個人主義、形式は家族単位」
という折衷的な制度が残りました。
④ 技術的・制度的に「不便さが表面化しにくかった」
- マイナンバー以前は、身分証明が分散しても困りにくかった
- 行政が戸籍を“万能データベース”として使えた
つまり
問題はあるが、今すぐ壊れるほどではなかった。
⑤ 政治的に「触ると荒れるテーマ」
戸籍は:
- 姓
- 婚姻
- 親子
- 国籍
と深く結びつき、
- 選択的夫婦別姓
- 非嫡出子
- 性別変更
などの論点と直結します。
どこを変えても強い反発が出る(どこからの反発なのかはわからないことが多い)
結果、「現状維持」が選ばれ続けた
まとめ
日本でも個人が最小単位になっているはずなのに、家族が最小単位であった家父長制度(家制度)の名残の強い戸籍制度が現在もあることが、選択的夫婦別姓制度などの問題がいつまでも解決しないひとつの要因なのかも知れませんね。
矛盾していることを先送りしていることが多いのは、いかにも日本らしいのではないでしょうか。


