私たち日本人にとって、マスクを着けて外出するのは、とくに抵抗を感じることではありませんよね。
もちろん、みんながそう思っているわけではなく、マスクを嫌う人もいます。
しかし、アメリカやヨーロッパ諸国など、欧米人に比べればマスクに対する抵抗感を持つ割合は低いのではないでしょうか。
マスクに対する意識の違いが、なぜここまで差があるのか不思議です。
花粉症のせいでは?
たしかに花粉症の人が多いからマスクに慣れているのかも
え?花粉症って日本だけなの?
マスクに関する疑問を探ってみましょう。
マスクの歴史
マスクの歴史を調べてみると、日本では大正時代にはすでに感染予防の目的でマスクを着ける習慣が広まっていました。
これは、大正時代に流行したスペイン風邪が理由です。
それまでは、工場作業で使用していた粉塵マスクが感染対策に役立つと言われて、一気に広まったのです。
それ以降も、季節性の感染症が流行するとマスクを着ける人が急増したのです。
つまり、日本では早くから感染予防にマスクが役立つというのが世間に広く知られていたのですね。
マスクに慣れた理由
日本が感染予防のためにマスクを使い始めて、すでに100年ほど経っているとしても、これほどまでにマスクを着けるのに抵抗を感じなくなったのには、いくつかの要因が重なっています。
学校給食の普及
日本の学校給食は、子供の成長を支えるために、とても重要な役割を担っているとされて、世界でも注目されています。
戦後の食糧難の時代から全国に広まり始めた学校給食は、子供たちが当番制で配膳します。
この時に衛生目的で使うのがガーゼマスクでした。
幼い頃からマスクを着けることに慣れたのは、これが理由ではないかと考えられます。
花粉症の影響
日本に訪れる外国人が、旅行中にスギやヒノキなどの花粉症になることもあるほど、花粉症になりやすいのがこの国です。
理由は、戦後の復興のために住宅建築用の木材を大量に必要としたため、森林伐採が進み、そこにスギやヒノキを大量に植樹したためです。
植樹されたスギやヒノキが成長する頃には、国内では海外から安い木材が輸入されるようになったため、伐採されずに放置されたスギやヒノキから大量の花粉が飛散するようになります。
それが国民の多くを苦しめる花粉症の原因です。
春先になると、花粉対策のためにドラッグストアホームセンターなどに大容量の不織布マスクが並びます。
街中には、マスクを着けている人が溢れる様子は、今に始まったことではないのです。
欧米人がマスクを嫌う理由
日本人がマスクを着けることにあまり抵抗を感じない理由が少し理解できたとしても、欧米人がなぜ嫌悪感を持つのかわかりません。
「不健康に見える」
「病気の人がつけるもの」
このような理由で嫌うという意見を耳にしてきました。
しかし、もっと根本的な理由があるようです。
それは、欧米人は口元で人の表情を判断するからだと考えられています。
笑った顔、怒った顔、悲しい顔など、人間の表情を察知するのに口元が重要だという意識があるため、マスクで口元を隠すことに不安を感じるのです。
それに対して日本には「目は口ほどにものを言う」という言葉があるように、人の感情は目にあらわれると考える人が多いため、マスクで口元を隠すことに強い抵抗を感じないのではないでしょうか。
まとめ
欧米人がマスクに嫌悪感を持つのは、マスクによって表情が見えなくなることで、人間関係に悪影響が及ぶという恐れが根底にあるようです。
そう言われてみれば、似顔絵などでは、口元を強調することで特徴や表情が伝わりやすくなります。
無意識のうちに根付いていることなので、簡単には変えられないのでしょう。