海外からの観光旅行者は、日本のラーメンを楽しみにしていっる人も多いとか。
日本のラーメンチェーンが海外進出していますから、すでに日本のラーメン文化は海外にも浸透しているのではないでしょうか。
しかし、海外の方たちはラーメンをすすって食べません。
すすらずにラーメン、そば、うどんなどの麺類を食べるのは難しいと思いますが、すする食べ方をしたことがなければできないのでしょう。
そもそも、すすって音を立てて食べるのは、日本以外ではマナー違反と言われています。
なぜ日本以外ではすすって食べないのでしょうか。
日本だけがすする食べ方をする理由について、考えてみました。
すする食べ方が生まれた理由
麺類をすすって食べたり、熱いお椀に入った汁物をすすって飲むなど、すする音を立てる食べ方が生まれた理由を探ってみました。
いつからすすって食べていたのかは、はっきりとわかっていません。
人間が火を使って熱くした物を食べるようになると、箸などの道具を使わなければ火傷してしまいます。
熱々のまま口に入れれば、口の中も火傷してしまうので、冷ましながら食べるようになります。
ただ、日本は古くから器を口に運んで食べていました。
それがすすって食べる文化の始まりではないかと、考えられているのです。
多くの国では、熱い食べ物の入った器を直接口に運んで食べることはしません。
ナイフやスプーンを使って、適度に冷ましながら食べるので、すすらなくても食べることができるわけです。
日本では、汁物などは熱の伝わりにくい木製の椀を使うため、熱々のままでも手に持って口に運べます。
海外では、金属製や陶磁器などの食器を使うことが多いため、熱が伝わりやすいので器を手に持って食べることができません。
そのため、麺類もナイフに巻き付けて口に運びます。
すする食べ方が始まった理由は、木製の食器を作る技術が高いことも要因だったのではないでしょうか。
また、日本は食事の時に箸しか使わないのが一般的です。
それが器を口に直接運ぶ食べ方をする理由でもあります。
熱い汁物でも、匙(スプーン)を使って少量を口に運べば、すする音を立てなくても火傷せずに飲めます。
つまり、食器と箸の文化がすする食べ方が浸透する理由と考えられるのです。
江戸の蕎麦屋がすすりを広めた
派手にすする音を立てて食べるのは、熱い汁と麺を一緒に食べる蕎麦、うどん、ラーメンです。
ラーメンは昭和になってから広まった食べ物ですから、その時にはすでに麺類をすすって食べるのは一般的になっていました。
日本の麺類の歴史は、うどんが古く、蕎麦はうどんをヒントにして作られたと言われています。
蕎麦が庶民の食べ物として浸透したのは、江戸時代です。
江戸は世界一の人口密集地域でした。
忙しく働く人が多く、食事の慌ただしく短い時間で済ませていたので、立ち食いの屋台が流行ったのです。
蕎麦屋の屋台では、熱い蕎麦を手早く食べるのが粋とされていたので、ズルズルと音を立てずに食べるのは無理です。
それに、すすって食べた方が麺と汁を一緒に口に運べるため、より美味しく食べる方法を、知らず知らずのうちにやっていたのでしょう。
麺類はすすって食べた方が美味しいという発見は、後から自然にわかったことだと思われます。
箸を使う他の国ではどうなのか
日本以外でも箸を使って食事をする国はあります。
すすって食べる文化は、箸を使う国ではどうなのか見ていきましょう。
中国
中国から伝わったラーメンなので、同じように麺を食べているはずです。
ですが、中国では箸とレンゲを使って口に運ぶので、すする食べ方はしません。
中国でもすすって音を立てるのは、マナー違反です。
韓国
韓国ドラマが日本で流行ったので、本格的な韓国料理のお店も日本国内に増えました。
韓国や北朝鮮の食卓では、金属製の箸とスプーンはセットです。
器も金属製を使うことが多いため、手で持つことはしません。
麺類や熱いスープなどは、スプーンを使って食べますから、やはりすすって音を立てる食べ方はしません。
ですが、インスタントのカップ麺などを食べる時や、屋台で食事する時などは、軽くすすって食べる人もいるようです。
行儀良く食事をする場所と使い分けているのではないでしょうか。
ベトナム
ベトナムには、フォーと呼ばれる米粉で作った麺料理があります。
日本でも人気のあるベトナム料理ですよね。
ベトナムでも箸を使って食事しますが、フォーのような熱い麺類を食べる時でもすすりません。
やはりレンゲやスプーンを使って、すすらずに食べるのがマナーです。
器に直接口をつけてスープを飲むことはしません。
他にも、モンゴル、タイ、カンボジアは箸を使う文化です。
これらの国でも、やはり表向きにはすすって食べることは、良いことではないようです。
ですが、実際に現地の食事風景を見てきた人などの話を聞くと、高級なお店ではない庶民派の飲食店では、すすって食べているのを見かけるそうです。
要するに、マナーとしてはNGだとしても、すすって食べた方が早く、美味しく食べられるのを知っている人は、場所や食事の相手を選んですすっているということではないでしょうか。
熱い液体を飲む時はどうする
すすって食べるのが正しいのは日本くらいなもので、やはり世界でも珍しいようです。
それは器を手に持って口を直接つけて食べることが大きいと思います。
箸だけを使って食事できるのは、熱い汁が入っていても手に持てる食器を作れるからでしょう。
ですが、コーヒーや紅茶などの飲み物に関して言えば、欧米諸国でも直接器に口をつけて飲んでいます。
それでもすすらずに飲むのは、どうしてなのか不思議ですよね。
その理由はとても単純なことでした。
温度が低めなので、すすらなくても飲めるのです。
日本人は、温かいものは熱々にしてすすりながら食べたり飲んだりするのが好きなのでしょう。
ですが、海外ではすすらずに飲んでも火傷しない温度で飲みます。
洋食のスープの温度は、55~60℃くらいで出されることが多く、すすらなくても美味しく飲めるのです。
これはコーヒーや紅茶も同じです。
日本人の好みの温度よりも低めなので、すすらずとも飲めるわけですね。
まとめ
日本人以外は、すすらないのが食事のマナーというのが共通認識のようです。
ですが、ラーメンやうどん、蕎麦などの麺類は、すすって食べた方が見た目にも美しいし、美味しさもアップすると思うのです。
海外の観光客がどれほど増えたとしても、国内ではすすって食べる文化を堂々としても問題ありませんよね。