2023年の10月ごろのことだったと思います。
埼玉県の県議会に子どもの関する条例が提出されたことが社会的ニュースになりました。
小学3年生以下の子どもを留守番させるのを禁止、4年生~6年生の子どもだけで留守番させないように努力義務が課せられるという条例です。
多くの反対が寄せられてあっという間にその条例の案は消滅しました。
海外では子どもだけの留守番や外出を禁止する法律があるので感覚の違いもあるのでしょうが、働きながら子育てをする親が増えているのに、留守番を禁止されたら困るでしょう。
禁止する条例を作る前に、子どもだけで留守番をさせなければ生活が立ち行かない社会を変えるのが政治の役割だと思うのに、なんだが順番が違いますね・・。
しかし、私がこのニュースを聞いたときに思い出したのが、子どもだけで暮らしていた同級生のことです。
え?
子どもだけでは
暮らせないでしょ
無理ですよね
まあ、普通に考えるとそうです。
しかし、現実にそういう事例を目にしたのです。
そこで、子どもだけで暮らすことが可能なのかどうか調べてみました。
子どもだけの生活事例
子どもだけでは賃貸物件を契約することはできませんし、生活するための収入を得ることも難しいため、現実的には子どもだけで暮らすことは不可能です。
しかし、絶対に無理というわけではなく、さまざまな条件がそろえば可能なのです。
どういうケースなら可能なのか、2つの事例をご紹介します。
親が長期不在
ある住宅街で町内会の役員を受けた人から聞いたケースです。
町内会の会費を集金に回っていると、小学校高学年と中学生の姉妹2人だけで生活している家があり、会費を集金していいのか戸惑ったとのです。
「大人の方はいますか?」と聞くと「うちには大人はいません」と。
「町内会費を集金しているのだけど、町内会はそのまま継続でいいのかしら?」と聞くと「はい」と答えて会費を渡されたそうです。
しかし子どもだけで生活しているのを知って、近所に住んでいる者としては心配になり、町内会長に相談してみたところ、一緒に訪ねてみようということになります。
訪問して詳しい事情を聞いてみると、
・両親は海外赴任して最長3年は戻らない
・学校のことなどがあるので日本に残った
・生活費は送金されている
・車で10分のところに祖父母の家がある
・警備会社の契約があり防犯設備もある
話を聞いてみると、こういうことだったので安心しつつも、やはり子どもだけで暮らすのは心配だから何かあったときには町内会長にすぐに連絡できるようにして、ご近所で見守ることになったそうだ。
その後、顔を合わせると中学生のお姉さんの方とは少し話ができるようになると、小学生の妹さんが絶対に行きたくないと言い張ったことと、高校受験を控えてたお姉さんも不安だったので2人で話し合って残ることを決めたと言うことで、両親を2人で説得したようです。
このケースでは、何も両親そろって海外に行かなくても、どちらかが残って単身赴任すればいいのでは?と思う人が多いでしょうが、両親がバラバラになるよりも一緒に行って欲しいと思う子ども存在するのでしょう。
親が再婚
次の事例は筆者である私自身の中学時代の同級生のことです。
中学2年のときの同級生の男子は、男兄弟4人で団地で暮らしていました。
両親が離婚して、母親と兄弟の5人で生活していましたが、母親が再婚することになり家を出て行ったのです。
再婚相手も離婚歴があり、小学生の女の子がいるそうで、そこに4人の兄弟が一緒に暮らすのは無理だと判断した母親は子どもを置いて出て行ったわけです。
団地の契約はそのまま母親名義で、家賃と光熱費だけは母親が払うけれど、それ以外の食費などは高校生の兄と中学生である私の同級生がアルバイトで稼いでいました。
今考えると、その他にも行政からの支援があったのかも知れませんが、普通に両親がそろった家庭で暮らしていた私には衝撃でした。
子どもだけの生活は可能か
事例があるので不可能ではないとしても、法的にはどうなのか?と思ってしまいます。
未成年の子どもは保護する義務があるのですが、子どもだけで生活するのは法に触れるわけではないのです。
明確に「○○歳以下の未成年者だけで生活してはならない」と言う法律があるわけじゃないので、親や扶養義務者がいなくても実質的には可能なのです。
しかし、法的な縛りがなかったとしても、万が一にも子どもに何か起きた時には保護責任者となる親族が責められることは避けられないのではないでしょうか。
まとめ
子どもだけで生活させるなんてひどい親だと決めつけがちですが、それぞれに事情があるので一概にはひどいとは言い切れないのかも知れません。
とはいえ、やはり未成年の子どもだけで暮らすのは、危険なこともあるはずです。
子どもは社会で育てると考えて、周りの大人が見守ることも大切でしょうね。