4月になると、新一年生たちがピカピカのランドセルを背負って歩く姿をよく見かけます。
最近ではランドセルのカラーバリエーションが豊富なことに驚きますね。
昔は男の子は黒、女の子は赤と決まっていました。
ルールではないけど、お店でもその2色しか売っていなかったので、選択の余地はありませんでした。
今は性別に関係なく色を選べるようになったのは、時代の変化だと感じます。
でも、なぜみんな示し合せたかのように、小学生はランドセルを背負って学校に行くのでしょう。
学校指定のカバンのない小学校に入学する子供たちは、ほとんどがランドセルを買ってもらいます。
ルールとして決められているわけじゃないのに、なぜ小学生はランドセルを背負うのか。
その謎に迫ってみたいと思います。
ランドセルを使う理由
ランドセルを使っている小学生に聞いてみても、ランドセルを使う理由はわかるはずありませんよね。
ランドセルを買い与える保護者に聞いても、ハッキリと答えられる人は少ないと思います。
強いて言うなら「みんなが使っているから」とか「昔からそうだから」というくらいでしょう。
理由もハッキリしないのに、なぜみんなランドセルを使うのか不思議です。
けっして安いものではないのに、どうしてなのか・・。
ランドセルを使う理由を調べてみると、いくつかの根拠が見つかりました。
子供を守る
ランドセルは、箱型の形状になっています。
型崩れを防ぐように作られているのは、ランドセルが子供を守る役割をするからなのです。
子供が仰向けに転倒したりすれば、頭を打ってしまいます。
ですが、箱型でしっかりとしたランドセルを背負っていると、頭への衝撃を受ける前にクッションの役割をします。
また前のめりに転倒した時に、両手が荷物で塞がらなければ手を使って衝撃を和らげることができます。
そのために背負うタイプのランドセルが役に立ちます。
教材を守る
学校で使う教科書や筆記用具などが、きちんと収まるので、ランドセルは小学生の通学カバンに適していると言われます。
とくに教科書は大切に扱わなければいけないものだったので、教材を保護するためにも頑丈な箱型のランドセルが良いと考えられたのでしょう。
体に負担をかけない
成長期の子供の体への負担を考えると、背負うタイプのランドセルが良いと言われています。
肩掛けカバンや手提げカバンでは、左右のどちらかに負担が偏ります。
骨格がまだ完成していない成長期のバランスを考えると、ランドセルのように左右に傾かないものがいいですよね。
耐久性がある
革製のランドセルなどは、5万円以上もするほど高価なものです。
低価格なものもありますが、子供の使うものとしては安くありません。
ですが、小学校は6年間通います。
その間に簡単に壊れたり、破れたりするようなカバンを使うくらいなら、耐久性のあるランドセルの方が経済的だという考え方もあるのです。
6年間使えるように、丈夫に作られていますし、成長に合わせて調整できるような工夫も施されています。
ランドセルの起源
そもそもランドセルっていつからあるのか知っていますか?
日本のランドセルの起源は、軍隊が使っていたバックパックタイプのカバンだったのです。
それは江戸時代末期に、西洋式の軍隊を作った時から使われています。
オランダから伝わったバックパックを参考にしたのでオランダ語の「ランセル」が変化して「ランドセル」になったと言われているのです。
軍隊で使っていたものが子供の通学用カバンとして普及するまでには、かなり長い時間が流れます。
今のようなランドセルが普及するきっかけは、学習院初等科に通う子供たちがリュックサックのようなカバンを使っていたからです。
学習院に通うのは、皇族、華族、貴族の家の子供たちです。
ですが、教育の場では家柄に関係なく平等であるべきという考え方から、子供が自分自身で教材や荷物を持って通学していました。
それでリュックサックのようなカバンを使うようになったのです。
後の大正天皇になる皇太子が明治20年に学習院初等科に入学する時に、伊藤博文が革製の軍隊タイプのランドセルを贈ったことが、現在のランドセルの始まりだと言われます。
それから数十年を経て、日本が高度経済成長を迎える頃になると、一般庶民の家庭の子供も学習院タイプのランドセルを背負って通学するようになったのです。
ルールとしてランドセルを使うように指導されたわけじゃなく、みんなが憧れていたものを手に入れられるようになって一気に普及したのですね。
まとめ
どうして日本の子供たちは、みんな揃ってランドセルを使っているのかと不思議に思う外国人も多いみたいですね。
そこにはいくつもの理由があり、長い年月をかけて慣習として定着したのです。
ランドセルじゃなくても構わないのに、みんながランドセルを使うのは、安心や安全の意味も含まれていると理解できました。
疑問を感じていた方の参考になれば嬉しいです。