アイドルという言葉の持つ意味は、たぶん日本とその他の国では違うのだと思います。
日本には、アイドルという職業があります。
これはとても不思議なことなのではないでしょうか。
あなたはどんなお仕事しているの?
私の職業はアイドルです。
たしかに会話としてよく考えると、妙な感じです。
日本独自のアイドル文化は、今では海外でも注目されます。
もう誰もアイドルという職業に疑問を感じないのかも知れませんが、気になってしまう私のような人もいると思います。
いったい、アイドルを職業と考えるようになったのはいつからなのか、調べてみました。
アイドルという職業
職業欄に「アイドル」と書いても大丈夫なのか・・。
まずそういう疑問を感じます。
たとえばお役所などに提出する書類に、職業や職種を書く欄があるとしたら、アイドルの人たちは何と書いているのでしょう。
身近にアイドルをしている人はいないので、直接質問できないのですが、税理士の知り合いに聞いてみました。
申告書類には職業を書かなければいけないはずです。
アイドルを仕事としている人たちでも、そういう書類にはアイドルとは書かないそうです。
アイドルは芸能人という大きな括りに入ります。
その中でさらに詳しい職種が必要な場合は、歌手、俳優、モデル、司会、タレントなどに分けられます。
アイドルというのは職種でもないので、主な活動を職種として書くのが一般的だということです。
アイドルの意味
アイドルという言葉は、英語のidolがもとになっています。
英語のidolの意味は偶像、崇拝の対象です。
偶像とは、神様や仏様のように、人々が信仰して崇拝する対象となる像のことです。
つまり、日本で言われるようなアイドルとは全く違うのです。
しかし、日本で芸能人をアイドルと呼ぶようになったのは、アメリカの芸能界が由来です。
人気女優や人気歌手のことをidolと呼ぶのがアメリカの芸能界でブームになり、本来のアイドルの意味から離れていくのです。
崇拝する対象の偶像という意味から、憧れられる存在に変化していきます。
日本でアイドルという言葉が使われるようになった頃は、外国の芸能人にしか使っていなかったと言われています。
つまり、本来のidolの意味が大きく変わったのは、日本に伝わった後ではなかったのです。
それを知って、少しホッとしています。
和製英語として、意味を歪めてしまったわけじゃないのですね。
アイドルとスター
日本ではアイドルと呼ばれる存在とスターと呼ばれる存在に分かれています。
今はあまりスターという呼び方はしなくなりましたが、テレビよりも映画が主な娯楽だった頃までは、映画スターとかスター歌手などという呼び方をしていたのです。
これもアメリカから始まったことです。
今でもハリウッドで活躍する俳優のことをハリウッドスターと呼びます。
夜空にきらめく星のように、光り輝き、手の届かない存在という意味で呼ばれるようになったのです。
今のように日本の芸能界で、ファンから熱狂的な支持を集める存在をアイドルと呼ぶのが定着し始めたのが昭和30~40年代のことです。
アイドルもスターも、どちらも憧れられる存在なので、共通しています。
ただ、アイドルは歌手活動を主にしていて、10~20代の若い世代から人気のある芸能人というイメージが固まっていきます。
それに対してスターは、映画俳優や大人の世代向けの楽曲を歌唱する歌手のイメージになっていくのです。
音楽活動をメインにしている芸能人は、ミュージシャンとかアーティストなどと呼ばれますが、アイドルはやはりアイドルなのは変わらないのですよね。
アイドルの変化
今は自称アイドルが世の中に溢れています。
ネットがあれば、誰でもアイドルになれる時代でもあります。
それが「アイドルは職業なの?」という疑問の根源だと思います。
少なくとも、今活躍しているアイドルの方たちは職業としてアイドルをしていると思います。
正式な職業名ではないとしても、アイドル活動だけで収入を得ているのであれば職業と考えるのは間違いではないでしょう。
芸能人ではなくてアイドルと呼ばれる人とは違います。
たとえば学校の中で人気者になれば○○校のアイドルと呼ばれたりしますが、それはあくまでも存在を表すためです。
周りからアイドルとして扱われるのではなく、自分でアイドルと名乗る自称アイドルも最近はすごく増えています。
自称アイドルというのは、芸能活動で収入を得ているわけじゃなく、どこかの芸能事務所に所属しているわけでもなく、ただSNSなどを使ってアイドルを名乗っている人のことです。
また、地下アイドルと呼ばれる人たちは、テレビや雑誌などにはほとんど取り上げられることなく、小さな劇場や路上などでライブ活動を中心にしている人の事です。
収入を得ているかどうかはそれぞれでしょう。
だた、昭和の時代に華やかな芸能界で大勢のファンたちから熱狂的な人気を集めていたアイドルとはあまりの違いです。
アイドルを職業の1つとして名乗るのは、アイドルのような存在になるのを目標にして活動する人たちも全て含めてOKにした方がスッキリするような気がしてきます。
まとめ
「アイドルになりたい」という人が思い描くアイドル像と、今の世の中でアイドルを名乗っている人の大多数とでは、かけ離れているのでしょうね。
そのうちきっと、アイドルを趣味と考える人も出てきそうな予感がします。
もしかして、すでにいるのかも?
だとすれば、もうアイドルの定義について疑問に思うのはやめた方が良いのかも知れませんね。
最後までお付き合いいただいた方に感謝します。