最近よく耳にするのが、墓じまいとか永代供養とか合同墓などというワードです。
これは終活を考える世代の人との会話で頻繁に耳にします。
しかし終活にはまだ早いのでは?と思うような40~50代の人からも、墓じまいや合同墓のことなどを聞くことが増えているような気がします。
それは、日本ではお墓は先祖代々のものがあり、家族と一緒に同じ墓に埋葬されるのが一般的だと考えられてきたたことも、一つの要因だと思います。
自分が亡くなった後のことを考えると、先祖代々の墓を管理する人がいなくなるのであれば、生前に墓じまいすることも検討しなければいけなくなります。
そもそも、自分自身のお墓のことについて、自由に選択できないと考えている人がまだまだ多いのが現状ではないでしょうか。
そういう風習はいつから続いているのか、また世界のお墓事情はどうなっているのか調べてみました。
お墓が家ごとなのはいつから
お墓参りに行くと、○○家之墓とか○○家先祖代々の墓というように、家単位の墓石が並んでいます。
これが日本のお墓としては一般的なのです。
墓石の側面には、故人の名前と享年が刻まれていますが、正面から見ると個人のお墓とは認識できないのです。
このような墓石のことは、家墓は子孫が先祖代々のお墓を引き継いで守っていくことが前提になっています。
このようなお墓がスタンダードになっていますが、意外にも家墓のスタイルは江戸時代の終わりごろから始まったと言われています。
日本では、高貴な身分の人くらいしか、立派なお墓を建立して埋葬することもなかったのですが、江戸時代になると農民の中にも大地主と呼ばれるような家が出てきます。
自分の家の大切な田畑を守り続けることを願い、自分の家の土地に墓を作って埋葬するようになりました。
それが一般庶民にも伝わると、庶民だって墓石が欲しくなります。
個人単位の墓が主流だったそうですが、夫婦や親子、家族単位に移り変わっていったのです。
その理由はハッキリしていませんが、先祖を敬う気持ちを大切にする教えが大陸から伝わってきたことが影響していると考えられています。
明治時代の家父長制度
江戸時代の末期に夫婦や家族単位の墓石が広まり始めたのですが、明治時代になるとさらにそれが強まります。
それはまさに戸籍制度、家父長制度の影響なのでしょう。
女性は結婚すると相手の姓になり、お墓も自分の先祖代々ではなく結婚相手の家のお墓に入るのが当然のようになっていくわけですね。
令和の時代になって、少しずつそのような家父長制、家制度に疑問を感じる人たちが増えてきたので、お墓のスタイルも変化しています。
例えば夫婦でも同じ墓に入らないとか、大切なペットと一緒にお墓に入るというようなケースもあります。
お墓は個人単位で考えることが一般的になる日も近いのだと思います。
亡くなった後の選択の自由も許されなかった時代じゃなくて、良かったですよね。
世界のお墓
日本のお墓事情は、江戸末期から現在に至るまで、家族単位が一般的でした。
そろそろ変化も起こりつつあると思いますが、世界のお墓事情はどうなのでしょう。
韓国のお墓
韓国のお墓事情は、国土の狭い日本と少し似ています。
墓地の面積が足らなくなることを見越して、納骨堂に埋葬する方法が都市部ではかなり一般的になっています。
土地に余裕のある地方でも、お墓の管理を考えてロッカー形式の納骨堂が推奨されているそうです。
中国のお墓
中国は日本とは違い、広い国土があるのでお墓の面積に困ることもないと思いますが、実はそうでもなさそうです。
中国の人口は日本の10倍以上です。
そして、中国のお墓は夫婦か個人です。
日本のように家墓ではないため、どれほど国土が広大でも、近い将来にはお墓の場所に困る国民も増えてしまうかも知れません。
樹木葬や散骨による海洋葬を推奨しているそうです。
インドのお墓
インドでは、ガンジス川に遺骨を流して埋葬するというのは有名です。
そのため、お墓が少ないのです。
ただ、川に流す水葬はヒンドゥ教徒が行う埋葬方法なので、他の宗教徒のなかにはお墓を作ることもあるそうですが、圧倒的少数派のようですね。
ヨーロッパ
ヨーロッパでは、個人単位で土葬する埋葬法が長く続いていました。
しかし、移民の増加や宗教の多様化から、火葬、樹木葬、海洋葬など多種多様な埋葬があり、個人が自由に選択しているようです。
ヨーロッパの墓地は、人々の生活圏内の美しい公園になっていたり、観光地や世界遺産になっているような場所が数多くあるのが特徴的です。
歴史に名を残すような芸術家のお墓などは、観光名所になっていることもあるのです。
アメリカ
アメリカは個人単位の土葬が一般的です。
これはキリスト教徒が多いからなのですが、アメリカは人種のるつぼと呼ばれるほど、移民の多い国なので、宗教によって埋葬方法は違います。
多数を占めるキリスト教徒は土葬するのですが、アメリカでも火葬が増加傾向にあるそうです。
長く火葬を禁止してきたカトリックでしたが、1963年に法王が火葬を認める発表をしたことで徐々に増えてきたようです。
また、土葬は遺体の管理や土葬のための墓地の準備など、費用面で火葬と比べて負担が重いため、火葬を選ぶ人が増えてきたと考えられています。
まとめ
日本のように先祖代々の墓を子孫が守るというのは、あまりない文化なのかも知れません。
そもそも結婚しない人、子どもを作らない人もいるのですから、子孫にお墓の管理を未来永劫お願いできると思うのも無理がありますよね。
そろそろ切り替えるタイミングではないでしょうか。
お墓を持たない選択があっても良いですよね。