海外には、偉人や有名人の名前がそのまま地名、都市名になったり、施設名に使うことがありますよね。
有名なところで言えば、アメリカの首都ワシントンは、初代大統領ワシントンの名前です。
ベトナムのホーチミンもサイゴンからホー・チ・ミン氏の名に変えられました。
地名ではないけれど、ジョン・F・ケネディ空港、シャルル・ド・ゴール空港などがあります。
しかし、日本には人物の名前の地名や空港などの施設名は思い浮かびません。
そんなことない!
高知龍馬空港があるじゃない!
いや、それは正式名称ではなくて
愛称的なものらしいよ
そうなのか・・
高知県出身の偉人は、ぶっちぎりで坂本龍馬の知名度が断トツなので、思い切って坂本龍馬空港でも良かったのに・・とよそ者は思ったりします。
しかしなぜ、日本にはそういう偉人や有名人の名前を地名に使わないのでしょう。
その理由を掘り下げてみました。
人物名を地名にする由来
偉人の名前をそのまま地名にする場合には、もともとの地名を変えてわざわざ人物の名前に変えるケースが多く見られます。
その人物の功績を称えるために、地名にするケースです。
その人物のことを後世まで語り継ぐためには、地名として残すのはとても良い方法だと思います。
日本の地名と名字
日本には人物の名前を使った地名がほとんどないとしても、そもそも地名が名字と同じという人が沢山いますよね。
明治になったときに戸籍という制度が始まり、それまで名字のなかった農民や商人たちにも正式に名字が必要になりました。
そのときは地名に由来した名字にした人がとても多かったそうです。
しかしもっと古くから、地名と名字は密接に関係していました。
たとえば、武士という身分はほとんど平氏と源氏に分かれます。
ですが、名乗る時には「平の~」とか「源の~」ではなく、土地の名前を名乗っていたのです。
朝廷から与えられる名字があるので、正式な場所で名乗る場合は与えられた正式な名字で名乗るわけです。
あの源頼朝の妻になった北条政子の北条氏は、正式には平氏です。
しかし北条郷を領地としていたので、北条と名乗っていたわけです。
もともと氏名の氏は与えられるものでした。
しかし、それよりも地名で名乗った方が素性もわかりますから、利便性を考えれば地名が名字になったのはごく自然だったのではないでしょうか。
例えば三浦という名字の人は、日本全国にいますが、ほとんどが三浦半島にルーツがあるそうです。
地名とのつながりを考えて名字を名乗ることが少なくなったのですが、じつは正式な氏よりも地名との馴染みの方が強かったわけです。
人物名が地名にならない理由
地名を名乗るのが古くからあったのに、なぜ人物名がそのまま地名に残ることがなかったのか。
その理由を考えると、地名を名乗るのは、その土地を領地として治める一族として内外にアピールする意味があったからではないでしょうか。
海外で人物の名前が地名になるのとは、そもそもの理由が違うのです。
地名を名乗るのは、「この土地は私の領地だ」と宣言する意味が強かったことが、人物名を地名に変えるのには少し違和感を持つのではないでしょうか。
まとめ
地名に偉人の名前を使うのは、大きな意味があると思います。
海外では、偉人に対する敬意の表し方なのですよね。
歴史的に人物名を地名に変えるのは、ハードルが高かったのかも知れませんが、空港や建造物などにはその土地に功績のある人物名を残すのはイイのではないでしょうか。