この頃、運動不足解消のために散歩するのですが、狭い道に入っていくのが好きなのでよく迷子になります。
よくこんな狭い道に面したところに家が建ってるなぁ・・と思いつつ、ふと思うのが「この家を建て替える時は大変だろうな」と。

いやいや、そんな狭い道に面してたら建替えはできないよ

マジか!じゃあ古くなったら引っ越すしかないの?

そういうことになるよね。しかも解体するのも大変そうだな
それだけじゃないですよ。
もしものとき、消防車や救急車が通れないくらいの狭い道もあるわけで。
そういう場所って今後どうなるのか気になりました!
ちょっと調べてみましょう。
幅員4m未満の道路に面した土地
新しく開発された住宅地域では、道路幅が4m未満ということはまずありません。
その理由は法律的に定められているからです。
建築基準法第42条により、「幅員4m以上」の道路に面していない土地には原則建築制限があります。
ではやはり、幅員4m未満の道路に面している家屋は、古くなってもどうしようもないってことなのでしょうか。詳しくみていきましょう。
🔹 基本ルール:建築基準法 第42条・第43条
建物を建てるには、原則としてその土地が
「幅員4m以上の道路」に2m以上接している 必要があります。
(建築基準法 第42条2項)
🔹 では、幅4m未満の道はどうなるの?
その道路が「2項道路」として認定されている場合
→ 建築可能です。
2項道路(にこうどうろ)とは、
昔から使われていて道幅が4m未満だが、
「将来的に4mに広げる」前提で建築基準法上の“道路”とみなすものです。
✅ 建て替えるときの条件(セットバック)
建物を建て替えるときは、
「将来4m幅になるように、道路中心から2m後退」して建てる必要があります。
この後退分を**セットバック(setback)**と呼びます。
🔸 具体例
- 現在の道路幅:2.8m
- 建築基準法上の必要幅:4.0m
👉 不足分 1.2m
👉 中心線から片側 0.6m を 自分の敷地から提供(後退) する。
セットバックした部分は建物を建てられませんが、
塀や植木などは一定の条件のもと設置可能です。
(ただし、実質的には道路とみなされます)
🔹 逆に「2項道路でない」場合は?
もしその道が建築基準法上の「道路」に該当しない場合、
→ 原則として建て替え不可(再建築不可物件)になります。
例:
- 私道で、道路位置指定(位置指定道路)がない
- 農道・里道・通路のまま
- 他人の土地を通って出入りしている
こうした場合は、
建築確認が下りないため、
老朽化しても建て替えができず、修繕しかできません。
🔹 どうすれば確認できる?
- 市区町村の建築指導課・道路管理課に確認
→ 「その道路は建築基準法上の道路ですか?」と尋ねる。 - 「建築基準法道路台帳」「都市計画図」 を閲覧。
→ 道路種別(42条1項1号~5号・2項など)が記載されています。 - 不動産登記や契約書にも注目
→ 「再建築不可」と書かれている場合は要注意。
| 状況 | 建て替え可否 | 対応 |
|---|
| 4m以上の道路 | 〇 | 問題なし |
| 4m未満・2項道路 | 〇 | セットバック必要 |
| 4m未満・道路認定なし | ✕ | 再建築不可(要行政協議) |
消防車や救急車のためのルール
建築基準法で新築や建替えには4m以上の道路に面していることを条件とした理由は、消防上のことを考えたからです。
消防車や救急車が通れない地域を減らし、防災上の安全を確保していくためにも、そういう狭い道路に面した家屋を減らす必要があったからなのです。
「救急車や消防車が入れない道路」とは、緊急車両の通行が物理的・構造的に困難な道路のことを指します。具体的には次のような条件の道が該当します。
🚫 救急車・消防車が入れない道路の主な特徴
① 道幅が狭い
- 4メートル未満の道は、消防車(幅約2.5m)が通行困難。
- 救急車も最低3メートル程度の幅が必要。
- 一方通行や袋小路(行き止まり)だとさらに進入しにくい。
🔸たとえば古い住宅街や下町、山間部の集落ではこのタイプが多いです。
② 電柱・塀・駐車車両が邪魔
- 電柱やブロック塀、路上駐車で通行幅がさらに狭くなる。
- 消防車の**回転半径(約6〜7m)**を確保できず、曲がれないことも。
③ 坂道・階段・未舗装路
- 急坂や階段のある通路では車両の進入が不可能。
- 特に山間地や団地の高台などでは、人が担いで上がるしかない場合も。
④ 橋やトンネルの制限
- 耐荷重制限(10t未満など)があると、大型消防車は渡れない。
- 高さ制限(2.5mなど)があるアーチ型トンネルも危険。
⑤ 行き止まり・袋小路
- 消防車は**Uターンできるスペース(約12m四方)**が必要。
- 狭い袋小路では入っても出られないため、進入できません。
🚒 対策として行われていること
| 対応策 | 内容 |
|---|---|
| 消防水利の設置 | 消防車が入れない地域に消火栓や防火水槽を設置 |
| 小型消防車・軽消防車の配備 | 軽自動車サイズの消防車で狭い道を対応 |
| 搬送補助機器 | ストレッチャーや担架、電動台車で患者を運び出す |
| 「進入困難道路マップ」 | 市区町村が公開し、住民・救急隊が把握 |
まとめ
- 建築基準法第42条により、「幅員4m以上」の道路に面していない土地には原則建築制限があります。
→ これはまさに消防活動や救急搬送を確保するための規定です。
安全のための規制として設けられているものなんですね。


