朝課外と呼ばれる非正規の授業は、九州の進学高校の多くにある慣習です。
地域によって、朝補習やゼロ時限、朝特課など呼び方は色々あるようですが、授業が始まる前なので、朝の部活動のようなものなのでしょう。
当たり前のように続いてきた朝課外が、急に全国的に注目を集めることになりました。
それはいったいなぜなのか、朝課外について考えてみました。
朝課外とは
朝課外とは、正規の授業が始まる前の1時間ほど行う補習のことです。
九州のすべての高校で行われているわけではないのですが、いわゆる進学校と呼ばれる高校の多くで続いているのです。
いつから、どこの高校から始まったのかハッキリとはわかっていませんが、団塊の世代の進学競争のころには九州の有名進学校では朝の課外授業が行われていた記録が残っています。
昭和40年前後に急激に朝課外が九州に広まったのではないでしょうか。
現在の日本は少子化ですが、それでも一流大学への進学は狭き門です。
ベビーブームの子供たちが進学を迎えるころは、一層厳しい進学競争だったと想像できます。
昭和30年代半ばは、大学進学率が上昇し始めた時期です。
義務教育を終えて就職する割合は減少し、高校から大学に進学する割合が増加したのも、ベビーブームの厳しい競争の中で成長してきた世代だからだと想像できます。
朝課外は、そういう背景が影響したのではないでしょうか。
朝課外は自習ではない
実際に朝課外は現在も九州の多くの高校で続いていますが、それは成果を残して来た実績があるからです。
しかし、授業以外の時間に勉強するのは、自宅でもできるはずです。
わざわざ早朝に登校して勉強するのはなぜなのか・・。
それは、朝課外が単なる教室で行う自習ではなく、教師が授業として行うからなのです。
つまり、正規の授業にプラスαの授業というのが朝課外なのです。
さらに言えば、正規の授業ではないので希望者だけの任意参加でも問題なさそうなのに、当たり前のように全員出席という点です。
疑問を感じずに朝課外が続いてきたのですから、それは全国的に見てもかなり珍しいのではないでしょうか。
部活動の朝の練習のようなものだと考えればわかります。
部活も任意参加のはずですが、暗黙のルールで何か部活に入らなければいけない学校も多いですからね。
教師の負担が問題
働き方改革は、教育現場では意味はないと言われています。
早朝や終業後の部活動の練習、休日の練習や試合への付き添いなど、活動が盛んな部活動の顧問になれば休みなく働きます。
朝課外も教師が授業と同様に行うのですから、早朝出勤しなければいけません。
その時間外の労働に対して報酬が支払われていないとすれば、教師はタダ働きしなければいけないわけですよね。
こういう側面を見ると、学校は働く場所としてはかなりのブラックではないでしょうか。
生徒から反対の声が
全国に朝課外のことが知られるきっかけになったのは、宮崎県のある高校の生徒たちが朝課外の反対について声を上げ始めたからです。
それを県会議員が議会で質問したことで、マスコミが取り上げることになりました。
全国から「朝課外ってなに?」という疑問の声が上がるのを見て、逆に九州の人たちは驚いたそうです。
九州だけでなく、全国の進学校で行われていると思っていた人が少なくなかったのです。
朝課外をすることで、寝不足になって授業に集中できないと感じている生徒も多く、教師の負担も大きいのです。
続けなければいけない理由があるわけじゃなく、やめるきっかげがなかっただけなのではないでしょうか。
まとめ
朝課外の見直しが検討する高校が増えると、進学に影響が及ぶのではないかという不安も声も出ると思われます。
ですが、正規の授業ではないのに半ば強制的に出席する慣習がホントに必要なのかどうか。
生徒たちから上がった声は、長く続いた朝課外を変えるのではないでしょうか。