「あなたはどちらの出身ですか?」
このような質問を受ければ、誰もが自分の故郷の地名を答えると思います。
つまり出身地は自分の故郷と理解している人が大多数だと思うのです。
ここで1つの疑問が湧いてきます。
出身地が故郷のことならば、出生地とはどう違うのだろうか・・。
そう思ったのです。
そのきっかけは、徳川家康公の出身地が今の静岡県とされていることに疑問を感じたからです。
徳川家康公は、愛知県の三河地方を領地とする松平家の人間です。
幼い頃に隣国である尾張の織田家に人質に出され後は、駿府(静岡)の今川家で人質として長い年月を過ごします。
今川家に預けられている間に結婚もしていますし、今川家の軍師である太原雪斎という人物から兵法などを学んで成長したと言われています。
たしかに長く過ごした土地であるのは間違いないですが、本人が望んだわけではなく、政略のための人質となっていただけです。
それなのに静岡出身とされるのは、家康公本人はどう思うのだろう・・と。
と言うものの、家康公は将軍の立場を退いてからは駿府城で隠居生活を送っていたのだから、やはり愛着はあったのかも知れません。
家康公の心情を確かめることはできませんが、出身地は出生地とどう違うのか気になってしまったので調べてみました。
出身地とは
出身地については、明確に「コレ!」というルールがあるわけではないようです。
国語辞典で調べてみると、出身地とは
その土地で生まれた
その土地に実家がある
その土地で育った
その土地に在住している
このように、出身地はこんなに幅広いのです。
ということは、1人の人物の出身地は必ずしも1つの限定されるわけではないということですよね。
徳川家康公で例えるなら、生まれたのは愛知県岡崎市です。
実家にあたるのも愛知県の岡崎にある岡崎城です。
ただ、とても幼い頃に人質として織田家や今川家で過ごしています。
だとすれば、出身地は岡崎市、名古屋市、静岡市ということになってしまいます。
本人がどの土地を出身地としていたかわかりませんが、これではかなり複雑です。
今の時代でも同じようなことが起こります。
転勤の多い家庭で育った子供は、自分の出身地をどこと答えれば良いのか迷ってしまうでしょう。
明確な定義があるわけじゃないのですが、一般的には幼少期から15歳くらいまでの間に暮らしていた土地を出身地としているようです。
15歳と言えば、江戸時代であれば成人として認められる年齢です。
今の時代ではまだ子供の年齢ですが、義務教育を終えて社会人になれる年齢でもあります。
色んな土地を転々とした中でも、15歳くらいまでの記憶の中で一番長く暮らしていた土地、もしくは印象が強く残っている土地を出身地としているのです。
出生地とは
出生地とは、そのまま「生まれた土地」という意味です。
出身地と出生地が同じではないのは、生まれた土地ではないところで育つこともあるからです。
生まれた土地を一度も離れずに暮らしている人は、出生地=出身地です。
出生地と出身地の違いは、出生地は誰もが1つしかないのに対して、出身地は1つとは限らないという点です。
出身は土地以外でも使える
出身地は土地の事ですが、出身は育った土地以外にも使います。
出身校はよく耳にすると思います。
出身校とは、卒業した学校のことです。
母校という言い方をすることもありますね。
出身校は卒業した学校のことに限られますが、母校は在学校にも使うので、そこが違います。
また、分野、ジャンル、グループ、派閥などにも出身を使うことがあります。
アイドル出身の女優とか
モデル出身の俳優とか
アスリート出身の政治家とかいますね
どこに身を置いていたのか表すために使うのが出身なので、生まれた場所や育った場所に縛られる言葉ではないようです。
まとめ
「徳川家康公の出身地を静岡県と言っていいのか?」という疑問から、出身地と出生地について掘り下げてみました。
どっちでもいいかも知れませんが、なぜ?と思ったことは1つずつ解決した方がスッキリしますよね。